神社の口をすすぐ後に吐き出す場所はどこ？作法と注意点まとめ

神社を訪れた際に行う参拝方法のひとつに、「手水舎（ちょうずや・てみずや）」での清めがあります。特に初詣などで神社へ行くと、多くの人が手や口を水で清めていますが、手水舎のやり方や正しいマナーについては意外と知らない人も多いようです。

例えば、手水舎で口をすすぐ際、「吐き出す場所はどこが正解？」と迷ったり、「口をすすぎたくない」「口をすすぐふりだけで済ませたい」と思う人もいるかもしれません。

また近年では、手水舎コロナ対策の影響から、そもそも手水を控えたり省略するケースも増えてきました。そのため「手水舎汚い」と感じた時の対応方法や、誤って水を飲み込むことへの不安、「手水舎忘れたけれど参拝は大丈夫？」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、そんな疑問を解消できるよう、手水舎読み方や正しい手順、さらに神社で口をすすぐ後に吐き出す場所のマナーまで分かりやすく解説していきます。

天照大御神

💡記事のポイント4つ

手水舎で口をすすいだ水の正しい吐き出し場所
口をすすぐふりがマナーとして適切かどうか
手水舎が汚い・忘れた場合の対応方法
清めとしての手水の意味と基本的な参拝作法

神社で口をすすぐ後に吐き出す場所と正しい作法
神社口をすすぐその後吐き出す場所に迷ったら

神社で口をすすぐ後に吐き出す場所と正しい作法

手水舎どこに吐き出すのが正解？
口をすすぐふりはマナー違反？
手水舎のやり方を基本から解説
手水舎の読み方と由来も確認しよう
手水舎忘れたときの対応方法

手水舎どこに吐き出すのが正解？

手水舎で口をすすいだあとの水は、手水舎の「水盤の中」ではなく、水盤の外にある排水溝や地面の溝に静かに吐き出すのが正しい作法です。これは多くの神社で共通する基本的なマナーであり、参拝者全員が気持ちよく利用できるように配慮された文化です。

まず、手水舎の水盤は、柄杓を使って手や口を清めるための水をためている場所であり、吐き出すための場所ではありません。そこに直接口をつけてはいけないのと同じように、口の中の水を戻す行為も不衛生であり、周囲の人への迷惑となってしまいます。

具体的には、手のひらに水を注いで口に含んだあと、左手で口元を隠しながら、静かに水盤の外にある排水溝や足元の砂利の部分に吐き出しましょう。多くの手水舎では、そのための溝や水の流れる場所が設けられています。吐き出す場所に迷ったときは、足元をよく見て、排水用の溝の位置を確認しておくと安心です。

また、吐き出す際に勢いよく水を出してしまうと、音が立ったり周囲に飛び散ったりする恐れがあるため、静かに行うことが求められます。左手を口に添えて隠しながら吐き出すことで、所作も美しく見えます。

いずれにしても、手水は神様の前に立つ前の「清め」の儀式です。作法を守ることは、単なるルールではなく、敬意を表す行動の一つといえるでしょう。水の吐き出し方一つとっても、その神聖な場所への礼儀が表れます。正しい吐き出し場所を知り、落ち着いて丁寧に行うことを心がけましょう。

口をすすぐふりはマナー違反？

口をすすぐ「ふり」だけで済ませるのは、基本的に正しい作法とは言えません。口をすすぐことには、手や口を清めるという意味に加えて、神前に立つ前に心身を浄化するという意味があります。そのため、「清めるふり」をすることは、形式をなぞっているだけで、本来の意義を果たしていないという見方がされます。

ただし、これはあくまで基本的な考え方であり、体調や衛生面に不安がある場合は例外です。例えば、感染症対策が必要なときや、手水舎の水が清潔に保たれていないと感じた場合などは、口に含むのを避けるのも自然な判断といえます。そうしたときは、「唇に水を触れるだけ」や「口元に水を近づけるだけ」といった対応でも問題はありません。

このように、一般的な状況であれば「口をすすぐふり」ではなく、実際に水を口に含んで軽くすすぐことが求められます。柄杓に口を直接つけるのはもちろんNGですので、必ず左手に水を溜めてから口に運びましょう。作法としては、左手を口に添えて動作を隠し、すすいだ後はその左手をもう一度清めるという流れになります。

一方、やむを得ない状況では、無理をする必要はありません。口をすすげなかったとしても、参拝時に心を込めて手を合わせることで、失礼にはあたりません。ただし、その場合も「清める意識を持っているかどうか」が大切です。手水の目的は「身を清めること」なので、見た目だけにとらわれず、丁寧に作法を行おうとする姿勢が何より重要です。

このように考えると、「ふり」で済ませることがマナー違反かどうかは、状況と気持ち次第とも言えるでしょう。大切なのは、形だけにとらわれず、神様に対して敬意を持って行動することです。

手水舎のやり方を基本から解説

手水舎では、神社や寺院に参拝する前に手と口を清める「手水（ちょうず）」という作法を行います。この作法は、古くから神様や仏様に対して敬意を示すための準備として重視されており、単に手を洗うだけの行為ではありません。正しいやり方を理解しておくことで、より丁寧な参拝ができるようになります。

まず、手水舎の前では一礼をしてから近づきましょう。心を落ち着け、清らかな気持ちで臨むことが大切です。次に、右手で柄杓（ひしゃく）を持ち、水をすくって左手を清めます。続いて、柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。このとき、手のひらや指先までしっかりと流すことがポイントです。

再度柄杓を右手に持ち、左手のひらに水を注ぎます。その水を口に運んで、軽くすすぎます。柄杓に直接口をつけるのはマナー違反なので、必ず左手を使ってください。すすいだ水は、静かに水盤の外側や足元の溝などに吐き出します。音を立てずに行うことで、所作がより美しく見えます。

口を清めた後は、再び左手に水をかけて清めます。これは、口に含んだ水が触れた左手を再び清浄に保つためです。そして最後に、柄杓に残った水を使って柄（持ち手）の部分を洗い流します。柄杓を垂直に傾けると、自然に水が柄に沿って流れます。この所作で、次に使う人への配慮が表れます。

全ての動作が終わったら、柄杓を元の位置に戻し、静かに手水舎を離れましょう。ハンカチやタオルで手や口を拭くときは、他の参拝者に配慮して速やかに行うと良いです。

このように、手水舎の作法は一連の流れの中に清め・敬意・配慮の意味が込められています。慣れるまでは順番を覚えるのが難しいかもしれませんが、何度か実践するうちに自然と身についていくでしょう。

手水舎の読み方と由来も確認しよう

「手水舎」という言葉は「ちょうずや」または「てみずや」と読みます。どちらも正しい読み方とされていますが、地域や神社によって使い分けられていることがあります。もともとは「てみず」と呼ばれていたものが、音便化（発音の変化）によって「てうず → ちょうず」と変化したと言われています。

この言葉に含まれる「手水（ちょうず）」は、水で手や口を清めることを意味し、「舎（や）」はそのための建物や施設を指します。つまり手水舎とは、「清めの水を使う場所」を意味する言葉です。

古代においては、神聖な場所に入る前に川や泉などで身を清める「禊（みそぎ）」の風習がありました。それが時代の流れとともに、より簡略な儀式として定着したのが手水です。手水舎は、そうした伝統が現代に受け継がれている場所なのです。

現在の手水舎には、水盤と柄杓が用意されていることが多く、誰でも簡単に手水を行えるようになっています。また、季節によっては花を浮かべた「花手水（はなちょうず）」が楽しめる神社もあり、美しさと清らかさを兼ね備えた空間として人気を集めています。

一方で、「手水舎」という漢字の読み方を間違えてしまう人も少なくありません。特に「舎」を「しゃ」と読む方もいますが、ここでは「や」と読むのが一般的です。参拝マナーを学ぶ際には、こうした基本的な言葉の意味や読み方も一緒に覚えておくと良いでしょう。

手水舎の存在は、単なる水場ではなく、日本人の礼儀や信仰心を象徴する場所でもあります。その意味を理解することで、より心のこもった参拝につながるはずです。

手水舎忘れたときの対応方法

神社やお寺に参拝した際、うっかり手水舎を通り過ぎて本殿まで来てしまった経験はありませんか？そのような場合でも、焦る必要はありません。手水舎での清めを忘れたとしても、神様に対して失礼にならないよう、対応する方法があります。

まず、可能であれば一度本殿の手前で立ち止まり、心を落ち着けましょう。そして、時間と混雑状況に余裕がある場合には、参拝を始める前に一度手水舎まで戻るのが丁寧です。正しい順序で手水の作法を行ってから、あらためて本殿へ向かうことで、より正式な参拝になります。

しかし、混雑していたり時間が限られていたりする場合、戻ることが難しいこともあるでしょう。そのようなときには、心の中で「本来であれば手水を行うべきでしたが、今回は失念してしまいました」と神様に正直な気持ちでお詫びをし、その分、参拝時に感謝の気持ちをしっかりと伝えるようにします。無理に形式だけを守るよりも、敬意と誠意を込めることのほうが大切です。

また、手水を忘れたからといって、神様から罰が当たるというようなことはありません。参拝の意義はあくまで「感謝や祈りを捧げること」にあります。形式的な作法も大事ですが、それにとらわれすぎる必要はありません。

とはいえ、こうしたミスを防ぐためには、神社に到着した時点で「鳥居をくぐる→手水舎で清める→本殿に向かう」という流れをあらかじめ意識しておくと安心です。スマートな参拝ができるよう、事前にマナーを確認しておくこともおすすめです。

このように、手水舎を忘れてしまった場合は、柔軟に対応しつつ、次の機会には丁寧に手水を行うという意識を持つことで、心からの参拝ができるようになります。

神社口をすすぐその後吐き出す場所に迷ったら

手水舎が汚い場合の代替方法
口をすすぎたくない人向けの作法
手水舎コロナ禍のマナーと注意点
参拝方法と手水の意味とは
初詣で気をつけたいマナー
口をすすいだ水を飲み込むのはNG？

手水舎が汚い場合の代替方法

神社を訪れた際、手水舎の水が濁っていたり、設備が古くて衛生的に不安を感じたりすることがあります。そのような状況では、無理にその水を使って手水を行う必要はありません。むしろ、身体を清めるための場所が汚れている場合、本来の目的が果たせなくなってしまいます。

このようなときには、代替手段を使って心身を清める工夫をしましょう。最も簡単なのは、未開封のペットボトルや水筒に入れた清潔な水を使う方法です。事前に手水用として準備しておけば、どこでも手水の作法を再現することができます。流れとしては、実際の手水舎で行うのと同じ順序で、右手・左手・口・再び左手を清め、最後に水を柄（ボトルの口部分）に流すつもりで終えると良いでしょう。

また、水が手に入らない場合でも、ウェットティッシュやアルコールシートなどを使って手を拭き取るだけでも効果的です。もちろん本来の作法通りとはいきませんが、「清めたい」という気持ちを持って行うことで、十分に意味のある行為になります。

さらに、古くから伝わる代替方法として「草手水（くさちょうず）」という作法もあります。これは、神社の境内にある植物の葉を数枚お借りし、それで手や体をなでることで穢れを祓うという方法です。使用後は葉を細かくちぎって土に返すのが一般的です。雪が積もる地域では「雪手水」と呼ばれる、雪を使った清めも知られています。

こうした代替手段を選ぶときに大切なのは、「形式ではなく、清めるという意識を持つこと」です。衛生的に問題のある水を使うことで逆に体調を崩してしまっては本末転倒ですので、臨機応変な対応を心がけましょう。

このように、手水舎が使えない場合でも方法はあります。準備をしておけば、どのような神社でも気持ちよく参拝することができるでしょう。

口をすすぎたくない人向けの作法

神社での参拝時、手水舎で口をすすぐのが正式な作法とされていますが、体調や衛生面の不安などから「口をすすぎたくない」と感じる人も少なくありません。特に近年は衛生意識の高まりにより、直接水を口に含むことに抵抗がある人も増えています。このようなときは、無理に口をすすがなくても大丈夫です。

まず知っておきたいのは、手水の目的は「身体の汚れを落とすこと」ではなく、「心身を清めて神様に失礼のないようにすること」にあります。そのため、実際に口に水を含まなくても、清める意識をもって丁寧な動作をすれば、参拝の作法として問題ありません。

具体的には、左手のひらに柄杓で注いだ水を軽くすくい、その水で唇を軽く濡らすだけでも構いません。このとき、水に触れる程度で「清めるつもりで行う」ことが大切です。見た目だけにとらわれず、心の中で「神様の前に出るために清めています」という気持ちを込めることで、形式に頼らない丁寧な所作になります。

また、手水の一連の流れの中で「口をすすぐ行為を省略するだけ」であれば、他の作法はそのまま行ってください。右手・左手を清め、最後に柄杓の柄を流す動作を忘れずに行うことで、清めの儀式としての意味が保たれます。

なお、口をすすがない代わりに、他の部分を特に丁寧に行うのも一つの方法です。例えば、手のひらや指先を念入りに洗う、動作をゆっくり丁寧にするなど、自分なりの工夫を加えることで気持ちが引き締まり、参拝にふさわしい心構えになります。

このように、口をすすぐことに抵抗がある場合でも、柔軟に対応することは可能です。形式にとらわれず、清める気持ちを持って行動することが、もっとも大切なポイントといえるでしょう。

手水舎コロナ禍のマナーと注意点

コロナ禍を経験したことで、神社の手水舎を利用する際のマナーや注意点にも大きな変化が見られるようになりました。以前であれば当たり前だった口をすすぐ行為も、感染対策の観点から避けるべきと考える人が増え、神社側でも新たなルールを設けるところが多くなっています。

まず、コロナ禍以降、一部の神社では柄杓の使用を中止し、自動で水が流れる非接触型の手水舎を導入する例が増えています。こうした設備がある場合は、直接水の流れに手を当てて清めるだけでも問題ありません。非接触型は衛生的で安心感があり、多くの参拝者にとって使いやすい方法といえるでしょう。

また、柄杓が設置されている場合でも、他の人と共有することに抵抗があるときは使用を控えても構いません。ペットボトルや水筒に清潔な水を持参し、それで手や口元を清めることも立派な代替方法です。持参した水を使う場合も、右手・左手・口・柄杓の持ち手部分という基本の流れを意識すれば、正しい作法に近い形で清めることができます。

さらに、他の人と距離を取ることも大切なマナーです。手水舎の前が混み合っているときは、少し待って間隔を確保してから利用するようにしましょう。会話を控える、列を乱さないといった点にも配慮すれば、よりスムーズで心地よい参拝ができます。

もう一つ重要なのは、手水を行った後に手を拭く方法です。本来であれば「濡れた手はそのまま自然乾燥が理想」とされていますが、衛生管理を意識するのであれば、持参した清潔なハンカチやペーパータオルで拭き取っても構いません。ただし、共有のタオルなどには触れないように注意してください。

このように、コロナ禍における手水舎の利用は「衛生」と「礼儀」の両立が求められる時代になっています。形式にとらわれすぎず、清める意識を持ちながら、状況に合わせた柔軟な対応を心がけることが、今の時代にふさわしい参拝マナーといえるでしょう。

参拝方法と手水の意味とは

神社や寺院を訪れた際に行う参拝には、一定の手順や作法があります。その中でも、境内に入る前に手水舎で行う「手水（ちょうず）」は、単なる準備ではなく、神様と向き合うための大切な儀式の一部です。参拝の流れとともに、手水の意味をしっかり理解しておくことで、より丁寧な気持ちでお参りすることができるようになります。

まず参拝の基本的な順序は、「鳥居をくぐる」「手水で身を清める」「拝殿の前で参拝する」という流れです。鳥居をくぐる際には、立ち止まって軽く一礼をするのが正式なマナーとされています。この動作には、神域に入るという意識の切り替えが込められています。

そして、鳥居をくぐったあとは手水舎へ向かいましょう。ここで行う手水の所作は、外側（手）と内側（口）を水で清めることにより、自分自身を神様に近づけるという意味があります。古代には「禊（みそぎ）」と呼ばれる全身を水で清める儀式がありましたが、手水はその簡略版として、今も参拝の前に行われています。

手水を済ませたら拝殿へ進み、参拝の動作に入ります。神社であれば、「二礼二拍手一礼」が一般的です。最初に深く二礼し、胸の前で二回手を打ち、心の中で祈願や感謝の気持ちを伝えたあと、もう一度深く礼をして終えます。お寺では拍手は行わず、合掌しながらお祈りをするのが一般的です。

このように、手水は単なる形式ではなく、心身を整えるための重要なステップです。清らかな気持ちで神様と向き合うための準備として、しっかりと意味を理解しながら実践することが大切です。形式だけにとらわれず、一つ一つの所作に心を込めて行うことが、礼儀ある参拝へとつながります。

初詣で気をつけたいマナー

初詣は、多くの人が新年最初に神社や寺院を訪れ、一年の平安や願いごとを祈る日本の伝統的な行事です。しかし、大勢の参拝者が集まる時期でもあるため、普段以上に周囲への配慮や正しいマナーが求められます。初詣を気持ちよく行うためにも、基本的なマナーを押さえておきましょう。

まず、神社に到着したら、鳥居の前で軽く一礼することを忘れないようにしましょう。この行為には、神様のいらっしゃる聖域に入るという敬意が込められています。そして参道を歩くときは、中央を避けて左右どちらかを歩くのが基本です。参道の真ん中は「正中（せいちゅう）」と呼ばれ、神様の通り道とされているためです。

次に手水舎へ向かいますが、混雑している場合でも焦らず順番を守って行動しましょう。手水の作法を知らない人も多く見受けられますが、右手→左手→口→再び左手→柄杓を清める、という順序を覚えておくと安心です。特に初詣では、人が多く流れも早くなりがちなので、手短に丁寧に行うことを意識するとスマートです。

本殿では、お賽銭を静かに入れることも大切なマナーの一つです。大きな音を立てて投げ入れるのではなく、そっと納めるようにしましょう。そして「二礼二拍手一礼」など、神社ごとの参拝作法に従って祈りを捧げます。混雑時には後ろに待つ人が多いため、長時間立ち止まらず、スムーズに参拝を終える配慮も求められます。

また、参拝後に写真を撮る場合には、周囲の流れを妨げないよう場所やタイミングに注意しましょう。特にご神体が祀られている本殿を撮影する場合は、神社側のルールを必ず確認することが大切です。撮影禁止の表示がある場合は、ルールに従いましょう。

初詣は新しい年を迎える大切な節目です。正しいマナーを意識しながら、周囲の人と神様の両方に敬意を持って行動することで、清々しい気持ちで新年のスタートを切ることができるでしょう。

口をすすいだ水を飲み込むのはNG？

神社の手水舎で口をすすいだあと、その水をどうするか迷ったことはありませんか？特に初めて参拝する方や外国の観光客の中には、飲み込んでもよいのかと考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、口をすすいだ水を飲み込むことは基本的にNGとされています。

手水での「口をすすぐ」行為には、身体の内側、つまり自分の内面を清めるという意味があります。これは、手を洗うことで外側を清めるのと同じように、口をすすぐことで「言葉」や「心」を整えるという精神的な意味を持っているからです。したがって、その清めに使った水を体内に取り込んでしまうと、清めの意味がなくなってしまうという考え方があるのです。

また、実際的な観点からも注意が必要です。手水舎の水は循環している場合もありますが、多くの人が柄杓を使い、時には誤って水が戻ってしまうこともあるため、衛生面に不安があるのも事実です。そのため、基本的には口に含んだ水は飲み込まず、静かに吐き出すようにしてください。

吐き出すときには、左手で口元を軽く隠しながら、足元の排水溝や水が流れている場所へそっと出すのが礼儀です。勢いよく吐き出すと音が立って周囲の人の迷惑になりますし、水が跳ねるなどして不快な思いをさせてしまうかもしれません。見た目にも所作として美しくありません。

ただし、どうしても水が口に入ってしまい、無意識のうちに飲んでしまうこともあるでしょう。その場合でも、必要以上に気にしすぎることはありません。大切なのは、清めるという気持ちで丁寧に行動しているかどうかです。気づいた段階で、可能であればもう一度口をすすぐか、左手を再度清めて気持ちを切り替えましょう。

このように、手水の作法は見た目以上に「意味」が込められているものです。形式にとらわれるだけでなく、その背景にある精神性を理解して行動することで、参拝の心構えもより整っていきます。飲み込むのではなく、「吐き出す」ことで清めるという文化の意味を、ぜひ意識してみてください。