神社に参拝するとき、何をどのようにお供えすればよいのか迷う人は少なくありません。特に「神社お供え物並べ方」と検索する人の多くは、正しい作法やマナーを知りたいと思いながらも、情報が断片的で不安を感じているのではないでしょうか。
お供えは単なる形式ではなく、神様に感謝の気持ちを伝える大切な行いです。けれども、供える物の種類や置き方、のしや表書きの仕方など、細かいルールや伝統があり、初めての人にとっては分かりづらい部分も多いものです。
この記事では、神社お供え物並べ方の基本から実践的なポイントまでをわかりやすくまとめています。配置の順序や三方の扱い、避けるべき品物など、気になる点を具体的に取り上げるので、初めての方でも安心して準備ができるはずです。
最後まで読んでいただければ、神様に失礼のないよう整った形でお供えをし、より清らかな気持ちで参拝できるようになります。

💡記事のポイント
- 神社に供える品目の選び方と適切な準備の要点
- 三方や折敷の向きと配置の実践手順
- お供え物の表書きやのし紙の正しい書式と包み方
- 神棚と神社で異なるお供え物の並べ方の違いと注意点
神社お供え物並べ方の基本とマナー

- まずは「何を供えるか」を整理
- お供えの意味と心得
- 参拝前後の手順と流れ
- 現地での配置・向き・高さの考え方
- 三方の向き・折敷の扱い・並べ替えのコツ
- 神饌を左右対称に美しく整える実践ルール
まずは「何を供えるか」を整理
神社におけるお供え物は、感謝と敬意を神様に伝える大切な手段です。そのため、何を供えるのかを正しく理解し、場にふさわしい品を準備することが求められます。お供え物は単なる贈答品ではなく、神様に向けた「捧げもの」であるため、日常生活で私たちがいただいている自然の恵みや命を象徴する、素朴で清らかなものが好まれます。
供える物としては、米、塩、水、酒、野菜、果物、菓子などが一般的です。特に、米や水、塩は「三献」とも呼ばれ、最も基本的な供え物とされています。包装は必要最低限とし、過度な装飾や目立つブランド志向のパッケージは避け、清潔感と丁寧な心配りが感じられる状態で準備することが大切です。
以下に、主なお供え物とその量・扱い方を一覧にまとめます。
分類 | 代表例 | 量の目安 | 準備のポイント | 置き方のヒント |
---|---|---|---|---|
米 | 洗米、奉納米 | 300g〜1kg | 精米し、水洗いして乾燥させたものが適切 | 小鉢に平らに盛り、器の縁からこぼれないようにする |
塩 | 粗塩 | 小皿一盛り | 精製塩よりも自然塩が望ましい | 山のように少し高く盛ると見栄えが良い |
水 | 清水、ミネラルウォーター | 一合前後 | 未開封の清潔な容器で用意 | 神前中央に近い位置に配置する |
酒 | 日本酒(清酒) | 一合〜四合瓶 | 普通酒または純米酒がよく使われる | 銘柄ラベルを神様側に向けて置く |
野菜 | 大根、きゅうり、なす等 | 奇数個が目安 | 泥や葉を落として清潔に整える | 背丈に応じて、低いものを手前に |
果物 | みかん、りんご、ぶどう等 | 奇数個が目安 | 傷や汚れのないものを選ぶ | 色合いや形を揃えて並べる |
菓子 | 落雁、煎餅、羊羹等 | 一包〜一箱 | 個包装はそのまま、箱入りは外装を整える | 正面を向け、名称や意匠を見せるように配置 |
供える品選びの考え方
地域によって信仰や神事の形式が異なるため、細かなルールも変わることがあります。また、神社ごとに受け入れられる供物の種類や量に独自の基準がある場合もあります。たとえば、大きな神社では大量のお供え物を受け入れる体制がありますが、小規模な神社では保存や配置の都合で控えめな奉納が推奨されることもあります。
そのため、お供え物を準備する前には、必ず社務所や神職の方に事前確認をとることが推奨されます。特に神饌の種類や持ち込み方法、のし・表書きの指定、また禁止されている品(肉類や生ものなど)があるかについては確認しておくと安心です。
お供えの意味と心得
神社へのお供えとは、日々の生活で受け取っている自然の恵みや命に対し、感謝の心を表す神聖な行為です。お供えには形式以上に心が大切とされており、たとえ高価な品でなくても、真心を込めて清らかに整えることが尊ばれます。
品物自体の状態はもちろん、持参の際の所作や扱い方も重要です。移動中はお供え物を両手で抱え、汚れないよう布で包むなどの配慮をすると良いでしょう。また、神社境内では、供物を地面に直接置かず、風呂敷や折敷の上に載せて管理するのが基本です。
拝殿に供える際は、神職や係の案内に従い、静かに歩を進めて礼儀正しく行動します。複数人で訪れる場合は代表者がまとめて捧げ、それ以外の参列者は手を合わせるなどして見守るのが一般的です。
また、参拝中の写真撮影や動画撮影についても注意が必要です。神社によっては撮影自体を禁じている場合もあるため、現地の掲示や社務所の指示に従いましょう。記録を残したい場合は、儀式が終わった後に神職に許可を取り、配慮を忘れないようにしてください。
参拝前後の手順と流れ
神社での参拝は、単にお供え物を置いて終わるものではありません。神域に足を踏み入れる前から、すでに神様への敬意を表す時間が始まっています。特に初めて奉納を行う方にとっては、手順を事前に理解しておくことが、心を落ち着ける上でも役立ちます。
まず神社に到着したら、手水舎(てみずや)で手と口を清める「手水の作法」を行い、心身を整えます。その後、拝殿前で軽く一礼し、周囲の雰囲気や人の流れに配慮しながら進みます。お供え物の受け渡しや設置については、必ず社務所や神職の案内に従ってください。
神社によっては、拝殿まで持参して供える場合もあれば、受付で預ける形をとるところもあります。供える場所では、三方や折敷といった正式な台に乗せ、音を立てずにそっと置くことが大切です。
拝礼の形式は、多くの神社で採用されている「二拝二拍手一拝」が基本となりますが、祭典や地域の慣習によって異なることもあるため、その場に応じて行いましょう。儀式後は、静かにその場を下がり、最後に神前へ向かって一礼をしてから退きます。
持参した風呂敷や手拭いなどは忘れずに回収し、必要に応じて奉納記録や初穂料の提出も行います。奉納品の受領書やお礼状を用意してくれる神社もあるため、事前に問い合わせておくと丁寧な対応ができます。
(出典:神社本庁「神社における作法と礼節」https://www.jinjahoncho.or.jp/)
現地での配置・向き・高さの考え方

お供え物を神前に並べる際は、単に品を置くだけではなく、配置や向き、高さの調和に心を配ることが大切です。神前とは神様が鎮座される空間であり、そこに捧げる神饌は、整った美しさと清浄さを持って配置されることが望まれます。
基本となるのは、中心軸と前後左右のバランスです。神前中央は最も神聖とされるため、米や水などの清浄を象徴する品を中央に近い位置へ置くのが基本です。野菜や果物など彩りや季節感を担う供物は左右に分けて配置し、視覚的な対称性を意識します。これにより、祭壇全体が整った印象となり、神前に対する礼儀が表現されます。
また、供物の高さにも注意が必要です。基本原則として、背の高い品は奥に、低い品は手前に配置します。これにより、奥から手前へと見通しが良くなり、全体の統一感が生まれます。たとえば、果物の山や酒瓶などは背が高いため奥に、平皿に盛った塩や菓子などは手前に並べると自然な段差が作られます。
瓶などのラベルがある品は、銘柄が神様に向くように配置します。これは「捧げる相手」に正面を向けるという、古来からの礼法に基づいています。なお、ボトルや包装紙の継ぎ目や結び目は参拝者側に出ないよう注意し、見た目の清潔感を損なわないよう整えます。
紙垂(しで)や榊(さかき)など神事の補助具が配置されている場合は、供物と干渉しないよう距離感を保ち、視線の自然な流れが中央へ集まるように並べましょう。神前の美しさは「整えること」そのものに神聖性が宿るとされるため、一歩下がって全体の見た目を確認し、違和感があればさりげなく調整するのが良いとされています。
三方の向き・折敷の扱い・並べ替えのコツ
神社の儀式でお供え物を置く際には、三方(さんぽう)や折敷(おしき)といった伝統的な器具が用いられます。これらは単なる台ではなく、神様に供えるものを清浄な状態で捧げるための重要な役割を担っています。したがって、それぞれの扱い方にもきちんとした作法が求められます。
三方は、脚部に透かし彫りのある台で、その「穴飾り」が施された面を参拝者側に向けるのが正式な向きです。この透かしは、供物が神様に対して清浄なものであることを表すと同時に、器具としての格式を高めるものでもあります。
折敷は木製や紙製の角盆で、その上に白紙を敷きます。紙の面は、光沢のある白い面(表面)を上にして使用し、四隅はしっかり揃えて折り目正しく整えます。これは神事における「清浄さ」を視覚的に表す所作であり、丁寧に扱うことで敬意を表現します。
供物を設置する際は、品だけを手で持つのではなく、三方ごと両手で抱えて所定の位置へ運び、静かに置くのが基本です。音を立てたり、ガタつかせたりしないよう、台座の安定にも気を配りましょう。
神事の途中で供物を追加したり並び順を変更する場面もありますが、その際には中心軸を起点として、常に左右対称を意識した調整が求められます。たとえば、中央に酒を置いている場合、その両隣に果物を一対として配置するなど、全体が「対(つい)」になるよう整えると調和が保たれます。
複数の三方を並べる場合は、前縁(手前の線)を一直線にそろえることで、視覚的に安定感のある陳列になります。三方同士の間隔は、10〜15cm程度あけるのが一般的で、等間隔にすることで見た目にも秩序が感じられる配置となります。
このように、三方や折敷の正しい扱いは、神事の格を保つためだけでなく、神前全体の荘厳な空気を作るための基本でもあります。
神饌を左右対称に美しく整える実践ルール
神饌(しんせん)は、神様への感謝を形にした最も重要なお供え物であり、その配置や見た目には高度な美的感覚と形式が求められます。基本的なルールは、「清浄」「対称」「奇数配置」の3点です。これらを守ることで、神前が整い、儀礼としての完成度も高まります。
まず清浄性について。神饌はすべて、汚れのない清潔な状態で準備し、必要に応じて手袋や清潔な布を使って配置します。直接手で触れる場合も、手洗いやアルコール消毒など、衛生面に配慮することが求められます。
次に、対称性です。供物は必ず左右対称に配置します。たとえば、果物を三個ずつ左右に置く、または同じ種類の野菜を中央を挟んで反対側にも置くなど、左右が鏡映しになるような並べ方が基本です。これにより、神前全体に整った調和が生まれます。
そして、奇数配置の原則も重要です。日本の神事では「奇数」が縁起が良いとされ、三個・五個・七個といった奇数で品数を揃えることで、厄を避ける意味合いが込められます。果物を三個ずつ、計六個並べる場合は、中心の一点を設けるなどの工夫を加え、全体として奇数に見えるよう調整することもあります。
配置の際には、器と供物の中心を一致させるよう意識し、微妙なズレも丁寧に直します。置いたあとは一歩下がって全体を確認し、高さ・角度・左右のバランスを目で確かめながら仕上げます。
もし水滴が器の周囲に残っていたり、米粒がこぼれていたりした場合は、白い和紙や清浄な布で静かに拭き取り、見た目とともに「場」の清らかさを回復させましょう。また、下に敷く台紙のしわや折れは、前もってアイロンや板などで整えておくと安心です。
神饌を写真や動画で記録する際は、必ず関係者や神職の許可を得て、記録のタイミングやカメラ位置にも十分な配慮が必要です。祭儀の最中に不用意に撮影を行うと、進行を妨げたり、神聖な空気を損ねることがあります。記録はあくまで補助的なものであり、主役は常に神様への祈りであることを忘れてはなりません。
(出典:文化庁『神社祭祀と神饌に関する研究報告書』https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/shumu_kanrentokei/pdf/h26_chosa.pdf)
神社お供え物並べ方の実践ガイド

- 奉書紙の書き方と名入れの基本
- のし紙の選び方と包み方の作法
- 日本酒・御神酒の選び方と量の目安
- お酒に掛けるのし・水引マナーの実例
- 神棚での一列配置と神社作法の違い
- 神社お供え物で避けるべき品と理由・代替案
奉書紙の書き方と名入れの基本
奉書紙は、神社に奉納するお供え物に添えるための格式ある和紙であり、その使用方法には正式な作法と意味が込められています。もともと奉書紙は、武家社会や宮中の公文書にも用いられた高級紙で、現在でも「正式な贈答」にふさわしい用紙として多くの神社で重用されています。
神前に供える品を清浄に包む目的で使用されるため、見た目の整いと清潔感が非常に重要です。奉書紙を用いる際は、まず用紙の表面に折り目やしわがないかを確認し、きれいに伸ばしてから使い始めます。白地で厚みのある奉書紙を使用するのが基本で、通常は半紙より大きめのサイズを選びます。
表書きの記載位置は、上段に奉納、御供、初穂料などの目的を記し、中央からやや下の位置に氏名や団体名を記入します。書く際の筆記具は筆か筆ペンが正式とされ、墨はやや濃いめの黒がふさわしいとされています。にじみを防ぐためには、墨の含みすぎに注意し、軽い筆圧で筆先を寝かせるようにして書くときれいに仕上がります。
文字は楷書体で丁寧に、横幅を揃えて書くと全体が美しく見えます。字体が不安な場合は、事前に下書きをしておくか、罫線を目立たないように鉛筆で引いておくと安心です。特に会社や団体での奉納では、代表者名や役職を省略せずに明記するのが丁寧な作法とされています。
包み方の基本は、正面から見たときに右側の紙が上になるように重ねます。これは「慶事」の包み方であり、神事もこれに準じる形を取ることが一般的です。包んだ後、角が浮かないように折り癖をつけ、仮止めする場合は糊や両面テープを用いて、見えない位置に最小限にとどめます。なお、ガムテープやセロハンテープの使用は不適切とされるため避けてください。
日付や祭事名などを添える必要がある場合は、紙の余白下部に小さく整えて記入するか、別紙を同封しても問題ありません。いずれの場合も、全体のレイアウトが偏らず、左右対称になるよう配慮することが大切です。
(出典:国立公文書館『奉書紙の歴史的使用と書式』https://www.archives.go.jp/)
のし紙の選び方と包み方の作法
のし紙は、お供え物に「祝意」や「敬意」を添えるための表書き用紙です。神社への奉納においてものし紙は重要な礼儀の一つとされており、その使い方によって贈る側の心遣いが伝わります。適切な色使いや包み方を守ることで、神様に対する誠意を形式として表すことができます。
一般的に、神社への奉納では紅白の蝶結びの水引を使用します。蝶結びは「何度あっても良いこと」に使われるため、出産祝いや入学祝い、神事への奉納などの慶事全般に適しています。水引の本数は五本または七本が基本であり、七本の場合はより丁重な意味合いを持ちます。
のし紙には、あらかじめ印刷されたものを使っても構いませんが、できるだけシンプルで品のあるデザインを選びましょう。弔事に近い色合い(グレーや黒、水色など)は避け、派手すぎる装飾やキャラクター付きのものも不適切とされます。
のしの種類として「内のし」と「外のし」がありますが、神社へのお供え物の場合は状況によって使い分けます。お供え物が他の人の目に触れないようにしたい場合や、控えめな表現を求められる場合は内のしにします。逆に、奉納の意志を明確に伝える必要がある場では、外のしが適しています。
表書きには「奉納」や「御供」などの語を記載し、贈り主の名前をフルネームまたは団体名で書き添えます。文字は楷書で丁寧に書き、位置はのし紙の上部中央に表書き、下部中央に名前を入れるのが基本です。肩書きがある場合は、氏名の上または横に小さく添えると丁寧です。
包む際には、のし紙の中心線と贈答品の中心線をずらさないように合わせ、背面の折り返しは「下から上へ」の順に重ねるのが正式な包み方です。これは、「幸せをすくい上げる」という縁起のよい意味を持っています。最後に、折り目の部分は指の腹で優しく押さえ、しわが出ないよう丁寧に仕上げます。
特に箱にかける場合は、上下左右の余白が均等になるよう気を配ると、見栄えが良くなり、格式の高さが自然と伝わります。神社によっては、のし紙の書式に細かな指定がある場合もあるため、事前に問い合わせておくと安心です。
日本酒・御神酒の選び方と量の目安
神社への奉納品として日本酒(御神酒)は非常に一般的であり、古くから「清めの酒」として神事の場で重んじられてきました。神道において、酒は米・水・塩と並ぶ神饌の中心を成す品であり、その選定には一定の形式と配慮が求められます。
まず選ぶ銘柄については、地域の地酒や伝統のある蔵元の製品を選ぶのが望ましいとされています。特に純米酒や本醸造酒など、米と水のみで造られた日本酒は、添加物がなく「自然の恵み」としての意味が強いため、神様に対する供え物として適しています。香りや味が強すぎない、落ち着いた風味の酒が好まれる傾向があります。
酒の容量は、行事や神社の規模に合わせて決めます。以下におおよその目安を示します。
容量(ml) | 対応する用途 | 説明 |
---|---|---|
180ml(一合瓶) | 個人での奉納や小規模参拝時 | 気軽に奉納できる小サイズ |
300〜720ml(四合瓶) | 地域行事や一般的な祭礼 | 最も使用頻度が高いサイズ |
1,800ml(一升瓶) | 大祭や企業・団体からの奉納 | 格式を重視する大規模な奉納 |
ボトルの選定では、奇抜な色やデザインのラベルは避け、伝統的で落ち着いた外観のものを選ぶことが望ましいです。ラベルの破れや汚れも神前では好ましくないため、事前に状態を確認してから持参しましょう。
運搬の際は、瓶の下部をしっかり両手で支え、転倒しないよう緩衝材で丁寧に包みます。風呂敷で包むと見た目にも品格があり、持ち運びやすさも増します。
神前に供える際には、ラベルの正面が神様に向くように配置し、注ぎ口や封の継ぎ目が参拝者側に来ないように注意します。これは、神様を正面に敬意を込めて供えるという、日本の贈答文化に基づいた配慮です。
なお、神社によっては、銘柄指定やラベルの貼り替えの要望がある場合もあるため、奉納前には必ず社務所に確認をとるようにしてください。贈る側の思いと受け取る側の配慮が合致してこそ、心のこもった奉納が完成します。
お酒に掛けるのし・水引マナーの実例

日本酒や御神酒を奉納する際には、のしや水引の掛け方にも正式なマナーがあります。単に包装するだけでなく、神様に対する「敬意」や「祈りの形」を見える化する手段として重要です。
酒瓶にのしを掛ける際は、専用の「瓶用短冊のし」または小型の掛け紙を使用するのが一般的です。これらは通常の贈答品と異なり、縦長の細い短冊状のものが多く、瓶の首部分から中央にかけて垂直に貼り付けます。
水引の結び方は「蝶結び(花結び)」が推奨されます。これは「何度あっても良いこと」に用いられる結びで、神事・祝事との相性が良く、紅白の色彩が基本です。結びの中心がずれていたり、結び目が乱れていると印象を損なうため、整った形に整えることが求められます。
表書きには「奉納」または「御神酒」などを記載し、下段には奉納者名(氏名や会社名、団体名)を記入します。文字は楷書で丁寧に、サイズは酒銘を隠さない程度に抑えて書くと、全体が調和し美しく見えます。
貼り付けの位置は、瓶の正面ラベルを過度に隠さない範囲で、上部〜中央にかけて配置するのが適切です。テープの使用は透明なものを控えめにし、可能であれば和紙のりや両面テープなど目立たない素材を使用すると丁寧な印象になります。
複数本をまとめて奉納する場合は、以下のような使い分けが一般的です。
- 各瓶に短冊のしを貼る(個別表示)
- 箱に入れて外箱にのし紙を掛ける(代表表示)
神社によっては「瓶へは直接のしを貼らず、箱のみに」と指定している場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。また、酒類販売店によっては奉納用のし紙セットを準備している店舗もあるため、購入時に相談してみるのも一つの方法です。
神棚での一列配置と神社作法の違い
神棚におけるお供え物の配置と、神社の拝殿での配置には、目的・環境・儀礼の違いに基づいた明確な区別があります。それぞれの場にふさわしい並べ方を理解することで、より正確で敬意ある神事が実現できます。
家庭内に設置する神棚では、限られたスペースと視認性の確保が前提条件となります。最も基本的な並べ方は「一列配置」です。これは神札(御札)を中央に置き、その左右に榊を配置し、手前に米・塩・水の三種の供物を左右対称に置く形式です。必要に応じて御神酒や季節の果物を加える場合もあります。
ポイントは以下の通りです:
- 神札の正面が部屋の中心または入口側を向くよう設置
- 榊は左右一対で、常に新鮮なものを用意する
- 神饌(三供:米・塩・水)は白皿に盛り、左右対称に配置
- 高さのある酒瓶は奥側に、手前には低い器を配置して視認性と安全性を両立
一方で、神社の拝殿では、空間の広さを活かした「層状配置」や「左右対称の段組み」が一般的です。三方や折敷(おしき)といった神具が用いられ、神饌を高低差や奥行きで整えることで格式を演出します。配置にも神職の動線や儀式の流れが組み込まれており、単なる整列以上の意味が込められています。
また、神社では祭具の点数も多いため、神鏡や灯明台、神籬(ひもろぎ)などの大型神具との整合性も求められます。家庭でこれを真似る必要はありませんが、基本的な「対称性」や「清潔さ」「高さによる階層構造」などは、参考にするとよいでしょう。
家庭では、棚の高さや地震対策など安全面を第一に考え、瓶や燭台の転倒リスクを避ける配置が求められます。特に酒瓶などの高さのある供物は、神札の陰にならないよう注意しつつ、視認性と安定性の両立を意識しましょう。
それぞれの環境に応じた合理的な整え方を選ぶことが、結果としてもっとも「神様に誠意が伝わる」形となります。
神社お供え物で避けるべき品と理由・代替案
神社にお供え物を持参する際は、「神域にふさわしいかどうか」という視点が非常に重要になります。一般的な贈答マナーとは異なる宗教的・文化的な配慮が求められるため、品選びには慎重さが求められます。ここでは、避けるべき品目の具体例と、それぞれの理由、さらに適切な代替案について解説します。
避けるべき品とその理由
品目の分類 | 避けるべき具体例 | 理由 |
---|---|---|
肉類 | 牛肉、豚肉、鶏肉、加工肉など | 神道では「殺生を連想させるもの」は穢れとされ、神前に相応しくないと考えられている。 |
匂いの強い品 | ニンニク、ニラ、くさや、漬物類 | 強い香りは神聖な空間を乱すとされ、神社の清浄性に反するとされる。 |
派手な包装 | 金・銀の装飾過多なラッピングや奇抜なカラー | 神前の簡素・質素を重んじる伝統に反し、神様に対して無作法と捉えられる可能性がある。 |
賞味期限が短いもの | 生クリームのケーキ、生菓子、水分量の多い果物 | 傷みやすく腐敗のリスクがあり、供物としての維持が難しい。 |
酒類の缶 | 缶入りの日本酒やビール | 缶は簡易的・日常的な印象が強く、格式ある供物とは見なされにくい。 |
このような品を誤って供えることは、意図せず神様への無礼になりかねないため注意が必要です。特に初詣や例祭など、神職や地域の人々が見守る中での奉納では、「神社お供え物並べ方」への理解も併せて求められます。
適切な代替品の提案
避けるべき品がある一方で、格式と意味合いを備えた代替品を選ぶことで、より敬意あるお供えが可能になります。以下に、適切な代替品とその根拠を示します。
避けたい品の種類 | 推奨される代替品例 | 理由・補足 |
---|---|---|
肉類 | 精米・乾物(昆布・干し椎茸など) | 穢れを連想させず、長期保存が可能。神饌(しんせん)としても伝統的に使用されている。 |
匂いの強い食品 | 季節の果物(りんご、みかんなど) | 香りが穏やかで彩りがあり、見た目にも清潔感がある。 |
派手な包装 | 白無地の奉書紙や簡素なのし紙 | 神前では「控えめな美」が尊重される。包装も礼儀の一部と認識される。 |
傷みやすい食品 | 乾燥菓子、落雁(らくがん) | 神饌の形式に則した伝統的な和菓子。崩れにくく保存もきく。 |
缶の酒類 | 瓶詰めの純米酒(透明ラベル・一合瓶以上) | 所作の美しさを重視できる。神様にラベルを向ける「神社お供え物並べ方」にも適合。 |
中でも、白米や酒は「五穀豊穣」や「清め」の象徴として用いられ、日本古来より神事に欠かせない品とされています。また、神前での供え方にも形式があり、向き・並べ方・配置高さなどの細かい配慮が求められます。
なお、神社によっては独自のルールや慣習を設けている場合もあります。たとえば、「のし紙は外のし限定」「包装は風呂敷が望ましい」「果物の持ち込みは不可」など、具体的な取り決めがあるケースもありますので、事前に神社の社務所へ確認を取ることが望ましいといえます。
(出典:文化庁『神道の祭祀と供物の基本構造』https://www.bunka.go.jp/index.html)
神社お供え物の並べ方まとめ

1. お供え物の基本的な考え方
神社へのお供えは、神様への感謝と敬意を形にしたもの。清浄・質素・対称性が基本的な美徳とされ、選ぶ品・置き方・扱い方のすべてに意味が込められています。
2. 何を供えるか:代表的なお供え物
・米(精白米)
・塩
・水
・日本酒(純米系)
・果物(季節のもの)
・乾物(昆布・干し椎茸など)
※殺生を連想する肉・魚は避けるのが原則です。
3. お供え物の意味と心得
「神饌(しんせん)」として供える品には、「生命の恵みを神に返す」という意味があります。単なる贈答品ではなく、「神域に捧げるもの」としての清浄性が重要視されます。
4. 参拝時のお供え物の流れ
- 参拝前に手水で身を清める
- お供え物を社務所または所定の台に預ける
- 指示がない場合、祭壇前で丁寧に配置する
- 二礼二拍手一礼を基本とした拝礼を行う
5. 現地での配置・向き・高さの基本
・お供え物は神様から見て正面に向ける(ラベル・銘柄)
・注ぎ口・継ぎ目は神様に背を向けない
・高さが異なる場合、背の高いものを奥に配置
6. 三方・折敷の扱い方と配置のコツ
・三方(さんぽう)に乗せる場合、縁が神様側に来るよう配置
・折敷(おしき)は白木が基本
・左右対称の配置を意識することで見た目も整う
7. 神饌を美しく整えるルール
神前に並べる際は、左右対称・高さのバランス・正面の向きに留意。配置の「所作」そのものが神様への礼儀とされ、粗雑な扱いは避ける必要があります。
8. 奉書紙の使い方と書き方
・白無地の奉書紙で包む
・右側が上になるように重ねる
・「奉納」「初穂料」などを最上段に、その下に氏名を毛筆で記す
・日付や行事名は余白の下部に小さく記載
9. のし紙の選び方と包み方
・紅白の蝶結びが基本(弔事の色は避ける)
・表書き:「奉納」「御供」など
・名入れは個人名または団体名
・のし紙は箱中央に合わせ、しわなく丁寧に貼る
10. 日本酒・御神酒の銘柄と量
・地域の酒蔵や純米酒が好ましい
・サイズは一合(180ml)~一升(1.8L)まで、行事の規模で調整
・ラベルが清潔なものを選び、奇抜なデザインは避ける
・瓶は緩衝材で保護し、持ち方にも注意を払う
(出典:文化庁『神道の祭祀と供物の基本構造』
11. 酒瓶へののしと水引のマナー
・短冊のしや瓶専用の掛け紙を使用
・水引は紅白の蝶結び、奉納と記し、名入れは控えめに
・複数本ある場合は、外箱にものし紙を添える
・神社の方針により瓶へののしを避けることもあるため確認が必要
12. 神棚との並べ方の違い
・神棚は一列に並べることが多く、神札・榊・供物をコンパクトに配置
・神社は層状の配置が主流で、供物の数も多い
・家庭では安全性と見栄えのバランスを取り、転倒リスクを避ける配置が望ましい
13. 避けるべきお供え物とは
品目 | 理由 |
---|---|
肉類 | 殺生を連想させ穢れとされる |
匂いの強い食品 | 清浄性を損なう |
派手な包装 | 神前の質素な美に反する |
傷みやすい品 | 腐敗のリスクあり |
缶入りの酒 | 容器として格式に欠ける |
14. 推奨される代替品の具体例
代替品 | 理由 |
---|---|
白米・乾物 | 腐りにくく穢れのない供物 |
季節の果物 | 香り控えめで彩りが良い |
奉書紙・白ののし紙 | 見た目の清浄感と格式が保てる |
落雁などの乾菓子 | 長持ちし、儀礼的にも使用可 |
瓶入り純米酒 | 所作が美しく、神前にふさわしい |
15. 持参前に確認しておくべきこと
神社によっては、お供え物の受付方法や制限(のしの有無・品の指定など)が異なることがあります。持参前には必ず社務所などに問い合わせを行い、神社の方針に従うことが望ましいです。形式にとらわれすぎず、「心をこめて供える姿勢」が最も大切です。
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