「神様にお願い事をする前に、まずは礼儀から」
久しぶりに神社を訪れるとき、あるいは大切な祈願のために有名な神社へ足を運ぶとき。「あれ、手水はどうやるんだっけ?」「この服装で失礼じゃないかな?」と、ふと不安になることはありませんか?
私も昔は「気持ちがあれば形なんて」と思っていましたが、やはり神域に入ると背筋が伸びるものです。正しい参拝マナーを知ることは、単なる形式的なルールを守ることではありません。それは神様に対する敬意を身体で表し、あなたの真剣な「願い」や「感謝」を神様に届きやすくするための第一歩なのです。
この記事では、日本の伝統に基づいた正しい作法から、多くの人が迷う服装の悩み、そして意外と知らない「やってはいけないタブー」まで、神社参拝に関するあらゆる疑問を網羅しました。これを最後まで読んでいただければ、もう迷うことなく、清々しい気持ちで神様と向き合うことができるはずです。
【基本編】鳥居から拝礼まで。恥をかかない正しい参拝手順

神社は、言ってみれば「神様の家」です。親しい友人の家を訪れる時と同じように、玄関(鳥居)からリビング(拝殿)まで、失礼のない振る舞いが求められます。ここでは、境内に足を踏み入れてからお参りを終えるまでの、一連の正しい流れを詳しく解説します。
鳥居は神域との境界線
まず、神社の入り口にある鳥居。これは単なる門ではなく、私たちが住む人間界と、神様がいらっしゃる神域とを分ける結界の役割を果たしています。
鳥居をくぐる時の3ステップ
- 一礼する:いきなり入るのではなく、友人の家の玄関で「お邪魔します」と言うように、鳥居の前で軽く一礼(一揖・いちゆう)します。帽子をかぶっている場合は取りましょう。
- 端を歩く:参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。ここを避けて、左側または右側の端を歩いてくぐります。
- 足の運び:厳密な作法では、左側を歩くときは左足から、右側を歩くときは右足から入ると、神様にお尻を向けずに済みますが、一般参拝ではそこまで神経質にならなくても大丈夫です。まずは「真ん中を避ける」ことだけ意識しましょう。
手水舎での「禊(みそぎ)」を省略しない
参道を進むと見えてくるのが手水舎(ちょうずや・てみずや)です。これは単に汚れた手を洗う衛生管理の場所ではありません。神様の前に立つために、外の世界でついた穢れ(けがれ)を水で洗い流す、簡易的な「禊(みそぎ)」の儀式です。
最近はコロナ禍の影響で柄杓(ひしゃく)を撤去している神社や、花を浮かべた「花手水」になっているところもありますが、基本の作法を知っておくことは大切です。
| 手順 | 動作の詳細 |
|---|---|
| 1. 左手を洗う | 右手で柄杓を持ち、水を汲んで左手にかけて清めます。 |
| 2. 右手を洗う | 柄杓を左手に持ち替え、右手にかけて清めます。 |
| 3. 口をすすぐ | 再び柄杓を右手に持ち、左手のひらに水を受け、その水で口をすすぎます。(※柄杓に直接口をつけてはいけません) |
| 4. 柄杓を洗う | 口をつけた左手をもう一度洗い、最後に柄杓を立てて残った水で柄(持ち手)を洗い流し、元に戻します。 |
※流水式(センサー式など)の場合は、両手を洗い、ためた水で口をすすぐだけで十分です。
拝礼の基本「二礼二拍手一礼」とお賽銭
いよいよ拝殿の前に到着したら、お参りです。ここでも慌てず、心を落ち着けて行いましょう。
まずはお賽銭です。お賽銭箱にお金を「投げ入れる」人がいますが、これはNG。お賽銭は神様への供物なので、本来は奉納するものです。賽銭箱のふちから滑らせるように、そっと入れましょう。金額に決まりはありませんが、「ご縁がありますように」と5円玉を入れる方が多いですね。逆に「10円(遠縁=縁が遠のく)」を避けるという語呂合わせもありますが、あくまで気持ちの問題です。
そして、拝礼の基本作法は「二礼二拍手一礼」です。(※出雲大社など一部の神社では四拍手の場合もあります)
【拝礼の手順】
- 二礼:背筋を伸ばし、腰を90度に折るくらいの深いお辞儀を2回します。
- 二拍手:胸の高さで両手を合わせ、右手を少し下にずらしてから、肩幅程度に開いて「パン!パン!」と2回手を打ちます。その後、手をきちんと合わせて祈ります。手をずらすのは、神と人がまだ一体になっていないことを表し、拍手を打つことで邪気を払い、神様を呼び出す(または自分の魂を振るわせる)意味があると言われています。
- 一礼:最後にもう一度、深く一礼をして下がります。
より詳しい神社の作法や歴史的背景については、神社本庁の公式サイトなども参考になります。
(出典:神社本庁『参拝の作法』)
一つひとつの動作に込められた意味を知ると、参拝の質がぐっと高まります。より細かい手順や、お賽銭の語呂合わせなどが気になる方は、以下の詳細記事で予習しておきましょう。
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【服装・身だしなみ】ジーンズやスニーカーはNG?

「久しぶりに神社に行くけれど、スーツじゃないとダメ?」「サンダルで行ったら怒られる?」といった服装に関する悩みもよく聞かれます。神様にお会いするわけですから、身だしなみを整えることは大切ですが、参拝の目的によってOKな服装とNGな服装が変わってきます。
一般参拝なら「清潔感のある普段着」でOK
近所の氏神様へのご挨拶や、観光を兼ねた一般的な参拝であれば、そこまで堅苦しく考える必要はありません。Tシャツにジーンズ、スニーカーといったカジュアルな服装でも問題ありません。
ただし、神様に対する最低限の礼儀として、以下の点には注意しましょう。
- 露出が高すぎる服:キャミソールやミニスカート、ショートパンツなど、肌の露出が極端に多い服は避けましょう。神聖な場にふさわしくないとされます。
- 汚れやボロボロの服:「清潔感」がキーワードです。ダメージジーンズも、あまりに激しいものは避けたほうが無難です。
- 帽子やサングラス:屋外であっても、お参りをする(拝殿の前に立つ)瞬間だけは、帽子やサングラスを外すのがマナーです。
「正式参拝(御垣内参拝)」はフォーマルが必須
注意が必要なのは、拝殿に上がってご祈祷(お祓い)を受ける場合や、伊勢神宮などで見られる「御垣内参拝(みかきうちさんぱい)」と呼ばれる、一般の参拝所よりも内側の聖域に入る場合です。
この場合、神職の方々は正装をしていますので、私たち参拝者にも「略礼服」以上の服装が求められます。
ご祈祷・正式参拝の服装目安
- 男性:スーツにネクタイ着用が基本。ジャケットは必須です。
- 女性:スーツ、またはそれに準ずるワンピースやアンサンブル。露出は控え、素足はNG(ストッキング着用)。
- 靴:スニーカーやサンダルはNG。革靴やパンプスを選びましょう。
特に伊勢神宮の御垣内参拝ではドレスコードが非常に厳格で、服装の乱れがあると入り口で断られることもあります。特別な参拝を予定している場合は、事前の準備が欠かせません。
黒い服・赤い服・動物製品のタブー説
よくネット上で「神社に黒い服で行くと縁起が悪い」「赤い服は神様が嫌う」といった噂を目にしますが、これらは基本的に迷信と考えて大丈夫です。
黒は喪服を連想させるため避けたほうがいいという意見もありますが、現代ではフォーマルな色として定着していますし、赤も魔除けの色として神社の鳥居に使われているくらいですから、タブーではありません。
唯一気をつけるべきなのは、「殺生を連想させるもの」です。アニマル柄(ヒョウ柄など)の服や、ファー(毛皮)をふんだんに使ったコートなどは、死の穢れを嫌う神道において、好ましくないと考える方もいます。絶対にダメというわけではありませんが、気になるなら避けるのが大人の配慮と言えるでしょう。
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【タブー編】「行ってはいけない時」はある?喪中と生理の真実

神社参拝において、多くの人が最も気にするのが「穢れ(けがれ)」に関するルールではないでしょうか。「喪中の時は鳥居をくぐってはいけない」と親に教わった方も多いはずです。ここでは、現代における「行ってはいけない時」の考え方を整理します。
「穢れ」とは汚いことではない
神道における「穢れ(けがれ)」は、物理的な汚れのことではありません。語源は「気枯れ(きがれ)」、つまり気が枯れて生命力が弱まっている状態を指します。身近な人の死や、出血を伴う事象に触れると、人間の生命力(気)が一時的に減退すると考えられてきました。
神様は清浄で生命力に溢れた存在ですので、気が枯れた状態で近づくことは失礼にあたる、あるいは神様の力を弱めてしまう、という考えから「参拝を控える」というマナーが生まれました。
「忌中(きちゅう)」と「喪中(もちゅう)」の決定的な違い
もっとも代表的なタブーが、身内に不幸があった場合です。しかし、1年間ずっと行ってはいけないわけではありません。重要なのは「忌中」と「喪中」の区別です。
| 期間の名称 | 期間の目安 | 神社参拝の可否 |
|---|---|---|
| 忌中(きちゅう) | 仏教では49日、神道では50日 | 参拝NG 死の穢れが最も強い期間とされるため、鳥居をくぐるのは控えます。お祝い事も避けます。 |
| 喪中(もちゅう) | 一般的に1年間 | 参拝OK 忌明け(50日過ぎ)以降であれば、故人を偲びつつ通常の生活に戻る期間ですので、参拝しても問題ありません。 |
つまり、葬儀から約50日が過ぎて「忌明け」をすれば、まだ喪中であっても初詣や祈願に行っても大丈夫なのです。ただし、地域や家の風習によっては「1年は控える」とする場合もあるので、家族に確認すると安心です。
女性の生理と参拝の関係
古くは、血液を伴う女性の生理(月経)も「赤不浄」として穢れ扱いされ、参拝を禁じられていた時代がありました。しかし、これは現代の人権感覚や医学的知識とは異なる、古い慣習の一つです。
現代の神道においては、「生理中だからといって参拝してはいけないという決まりはない」というのが一般的な見解です。神様は女性の体の仕組みを理解されていないほど狭量ではありません。
ただし、生理中はホルモンバランスの影響で体調が優れないこと(=気が枯れている状態)が多いのも事実です。「体調が悪いのに無理をして行かない」「出血が気になって参拝に集中できないなら日を改める」という判断基準で良いでしょう。ご自身の体調を最優先にしてください。
「相性が悪い神社」は本当にある?
ネットなどでは「自分と属性の相性が悪い神社に行くと運気が下がる」といった「繭気属性(けんきぞくせい)」の話がまことしやかに語られています。しかし、これは伝統的な神道の教えではなく、近年のスピリチュアルブームの中で広まった新しい考え方です。
本来、神様は「来るもの拒まず」。どんな人であっても、敬う気持ちを持って訪れる人を拒絶することはありません。「なんとなく雰囲気が怖い」「体調が悪くなる」と感じる場合は、相性というよりは、その時の自分のコンディションや、その場の自然環境(気圧や磁場など)の影響も考えられます。あまり神経質になりすぎず、「行きたい」と思った時が「呼ばれている時」だと捉えて良いでしょう。
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【おみくじ・お守り】引いた後・買った後の正しい扱い方

参拝の後の楽しみといえば、おみくじやお守りです。しかし、「引いたおみくじは持ち帰るべき?結ぶべき?」「お守りが古くなったらどうする?」といった疑問は尽きません。授与品は神様の力が宿ったものですから、扱い方にも礼儀が必要です。
おみくじは「神様からの処方箋」
おみくじを引いて、一喜一憂していませんか?実は、おみくじで一番大切なのは「大吉」や「凶」といった吉凶の結果ではありません。そこに書かれている「和歌」や「教え(神の教)」こそが、今のあなたに必要な神様からのメッセージ、いわば処方箋です。
「凶」が出たとしても、それは「今が底だから、これからは上がるだけ」「用心して過ごしなさい」というアドバイスであり、悪いことが起きる予言ではありません。
引いた後は結ぶ?持ち帰る?
これには決まった正解はありません。
- 持ち帰る派:神様の言葉を時々読み返し、指針にするためにお財布や手帳に入れて持ち歩く。
- 結ぶ派:「神様とのご縁を結ぶ」という意味で、境内の指定された場所(みくじ掛け)に結ぶ。特に、凶などの悪い運気を境内に留めて浄化してもらう場合に結ぶ人が多いです。
どちらでも構いませんが、持ち帰って不要になった場合は、ゴミ箱に捨てるのではなく、神社に返納するか、塩を振って清めてから感謝して処分しましょう。
吉凶の順番、知っていますか?
意外と知られていないのが、運勢の強さの順番です。神社によって解釈が異なる場合がありますが、代表的な2つのパターンがあります。
| パターン | 順序 |
|---|---|
| 一般的 | 大吉 > 吉 > 中吉 > 小吉 > 末吉 > 凶 |
| もう一つの説 | 大吉 > 中吉 > 小吉 > 吉 > 末吉 > 凶 |
「吉」の位置が変動するのがポイントです。もし迷ったら、社務所の方に聞いてみるのも良いコミュニケーションになりますよ。
お守りの「消費期限」と返納ルール
お守りには、神様の力が宿っていますが、その効力はずっと続くわけではないと言われています。一般的には「1年間」が目安です。
お守りは、持ち主の代わりに厄災を引き受けたり、悪い気を吸い取ったりしてくれます。1年も経つと、お守り自体が疲れてしまい、効果が薄れると考えられています。(※合格祈願や安産祈願などは、願いが叶った時点で役目を終えます)
返し方のマナー
古くなったお守りは、感謝を込めて神社にお返し(返納)します。神社の境内には「古札納所(こさつおさめじょ)」という場所がありますので、そこに入れます。
基本的には「いただいた神社にお返しする」のが筋ですが、遠方の旅行先で買った場合などは、「同じ神様が祀られている近所の神社」や「別の神社」でも受け入れてくれることがほとんどです。ただし、お寺でいただいたお守りは仏様のものなので、神社ではなくお寺に返すようにしましょう。神様と仏様を混ぜるのは避けるのがマナーです。
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【御朱印】スタンプラリーじゃない!怒られないためのマナー

近年、色鮮やかでアートのような御朱印も登場し、ブームとなっています。美しい筆致と朱色の印影は、参拝の素晴らしい記録となりますが、これを「記念スタンプ」や「コレクション」と同じ感覚で捉えてはいけません。
御朱印は本来、写経を納めた証としていただくものでしたが、現在では「参拝した証(あかし)」として授与される神聖なものです。神様やご本尊の分身とも言えるありがたいものですので、いただく際にも相応のマナーが求められます。
やってはいけない「御朱印」3つのタブー
1. 参拝せずに御朱印だけもらう
これが最も失礼な行為です。「スタンプラリー」と揶揄される原因でもあります。神社に到着して、いきなり社務所に直行するのはNG。必ず先に拝殿で神様にご挨拶(参拝)を済ませてから、御朱印をいただきに行きましょう。神様への敬意が最優先です。
2. ノートや紙切れにお願いする
御朱印は専用の「御朱印帳」に書いていただくものです。普通のノートやメモ帳、裏紙などを差し出すのは大変失礼にあたります。必ず御朱印帳を用意するか、忘れた場合は神社で新しいものを購入しましょう。また、多くの神社では「書き置き(和紙に書いたものを渡す)」の対応もしてくれますので、その場合は後で自分の御朱印帳に丁寧に貼り付けましょう。
3. 書いている最中に話しかける・のぞき込む
神職や巫女の方が御朱印を書いてくださっている間は、一心に筆を走らせています。この時に「お上手ですね」「これはなんて書いてあるんですか?」と話しかけたり、至近距離でのぞき込んだりするのはやめましょう。集中を乱す行為です。静かに待つのが礼儀です。
「お寺」と「神社」の御朱印帳は分けるべき?
これもよくある質問です。基本的には、同じ一冊の御朱印帳に神社とお寺の御朱印が混ざっていても、ほとんどの寺社では問題なく書いていただけます。神仏習合の歴史が長い日本ならではの寛容さです。
しかし、ごく一部の厳格な寺社では「神仏を混ぜるとは何事か」と断られるケースが稀にあります。また、西国三十三所巡りなどの特定の霊場巡りでは専用の納経帳が指定されることもあります。トラブルを避けたい方や、整理して保管したい方は、神社用とお寺用で2冊に分けて持っておくのが一番無難でスマートな方法です。
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【2026年保存版】神社参拝マナーとタブー完全ガイドのまとめ

神社参拝のマナーについて、基本からタブーまで詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 「作法」や「しきたり」と聞くと、少し堅苦しく感じて、「間違えたらどうしよう」と緊張してしまうかもしれません。
しかし、これらすべての作法の根底にあるのは、たった一つのシンプルな想いです。それは、「神様を敬い、清らかな空間を大切にする」という心です。
もし手順を間違えてしまったり、二拍手の音が小さかったりしても、焦る必要はありません。神様は作法のテストをしているわけではないのです。大切なのは「形式を完璧にこなすこと」ではなく、「真摯に祈る気持ち」です。「今日はありがとうございます」という感謝の気持ちを持って接すれば、きっとその想いは届きます。
今回ご紹介した基本を押さえておけば、どんな神社でも自信を持って堂々と参拝できます。ぜひ、今度の週末は近くの神社へ足を運んでみてください。正しい作法で向き合うことで、今まで以上に心が洗われるような、清々しい時間を過ごせるはずです。
さらに詳しい知識を知りたい方は、記事内で紹介した各項目の詳細記事もぜひ読んでみてください。知識が深まるほど、神社で過ごす時間がより味わい深いものになりますよ。
